○下妻市環境基本条例
平成24年9月25日
条例第19号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 環境基本計画(第7条・第8条)
第3章 市が講ずる環境の保全及び創造のための施策(第9条―第16条)
第4章 市民等との協働による環境の保全及び創造への取組(第17条―第22条)
第5章 地球環境保全の推進(第23条・第24条)
付則
私たちの住む下妻市は、中央に桜の名所として知られる砂沼が位置し、東に小貝川、西に鬼怒川の清流が流れ、おおむね平坦で肥沃な大地には田園が広がり、平地林が点在するなど、水と緑の豊かな美しい自然に恵まれたまちである。
先人たちは、古くからこれらの自然を愛し、保全しながら、その英知とたゆまぬ努力により、下妻市を自然と調和した歴史と伝統のあるまちとして発展させてきた。
しかしながら、近年、私たちは、生活の利便性を向上させる一方で、大量の資源を消費し、大量の廃棄物を排出することなどにより、環境に大きな負荷を与えている。今や私たちが環境に与える影響は、地域の枠を越え、地球規模の問題となっている。
もとより、私たちは、良好な環境の下で生活を営む権利を有するとともに、これを守り、育て、将来の世代に引き継ぐ責務を負っている。
私たちは、自らが環境に負荷を与える立場にあることを深く認識し、環境に配慮した新たな地域社会を構築することを目的として、下妻市、市民及び事業者が協働し、環境への負荷の少ない循環を基調とする社会を築くことを決意し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本的な事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全及び創造は、次に掲げる事項を基本理念として推進されなければならない。
(1) 現在及び将来の世代の市民が健全で恵み豊かな環境の恩恵を享受することができるように、その環境を維持し、又は向上させる取組を積極的に行うこと。
(2) 人と自然が共生する恵み豊かな環境を確保するため、平地林、農地、水辺地等における多様な自然環境を有効に活用しつつ、環境への負荷の少ない持続的に発展することができる社会の構築を目指すこと。
(3) 市、市民及び事業者がそれぞれの事業活動及び日常生活において、それぞれの責務に応じた役割分担の下に協働して取り組むこと。
(4) 市、市民及び事業者がそれぞれの事業活動及び日常生活において、地球環境保全が人類共通の課題であることを認識し、地球環境保全に資する活動を積極的に行うこと。
(市の責務)
第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、その日常生活に伴う廃棄物の排出、騒音の発生、軽微な屋外燃焼行為(たき火その他日常生活を営む上で通常行われる屋外での燃焼行為であって軽微なもの(ゴム、合成樹脂及び合成繊維又は廃油の燃焼を含まないものに限る。)をいう。)等による環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、市民は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を未然に防止し、又は自然環境を良好に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。
2 事業者は、基本理念にのっとり、自らの責任と負担において、その事業活動に伴う廃棄物の発生を抑制し、再利用を図る等により、廃棄物の減量に努めるとともに、廃棄物を適正に処理する責務を有する。
3 事業者は、基本理念にのっとり、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たっては、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。
4 前3項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
第2章 環境基本計画
(環境基本計画)
第7条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は、環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な目標及び施策の大綱について定めるものとする。
3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、市民及び事業者の意見を反映するための必要な措置を講ずるとともに、下妻市環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(施策の策定及び実施に当たっての義務)
第8条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、各種の施策相互の連携を図りつつ、環境基本計画に基づき、総合的かつ計画的に行わなければならない。
第3章 市が講ずる環境の保全及び創造のための施策
(公害の防止)
第9条 市は、市民の健康を保護し、及び生活環境を保全するため、公害の防止に関し必要な措置を講じなければならない。
(自然環境の保全及び創造)
第10条 市は、平地林、農地、水辺地等における多様な自然環境の適正な保全及び創造に努めるとともに、生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保に努めなければならない。
(資源の循環的な利用等の促進)
第11条 市は、環境への負荷の低減を図るため、廃棄物の処理の適正化を推進するとともに、市民及び事業者による廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの適切かつ有効な利用が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。
(規制の措置)
第12条 市は、環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるものとする。
(監視、測定等の体制の整備)
第13条 市は、環境の状況を的確に把握し、並びに環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するため、必要な監視、測定等の体制の整備に努めるものとする。
(調査、研究等の推進)
第14条 市は、環境の保全及び創造に関する情報の収集に努めるとともに、科学的な調査及び研究並びにそれらの成果の普及に努めるものとする。
(国及び他の地方公共団体との協力)
第15条 市は、環境の保全及び創造を図るための広域的な取組を必要とする施策について、国及び他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。
(環境影響評価の推進)
第16条 市は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者がその事業の実施に当たり、あらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
第4章 市民等との協働による環境の保全及び創造への取組
(情報の提供及び市民等の意見の反映)
第17条 市は、環境の状況その他の環境の保全及び創造に関する情報を適切に提供するように努めるとともに、環境の保全及び創造に関する施策に市民及び事業者の意見を反映させるための必要な措置を講ずるものとする。
(市民及び事業者との連携)
第18条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を効果的に推進するため、市民及び事業者の参加及び協力を求める等これらの者との連携に努めるものとする。
2 市は、市民及び事業者と協力して、環境の保全及び創造に関する活動を積極的に推進するための体制の整備に努めるものとする。
(環境の保全及び創造に関する教育、学習等の推進)
第19条 市は、市民及び事業者が環境の保全及び創造についての理解を深められるように、環境の保全及び創造に関する教育及び学習の振興並びに啓発活動その他の必要な措置を講ずるものとする。
(市民、事業者等の自発的な活動の促進)
第20条 市は、市民、事業者又はこれらの者で構成する団体が自発的に行う緑化活動、再生資源の回収に係る活動その他の環境の保全及び創造に関する活動を促進するため、これらの活動に対する助成その他の必要な措置を講ずるものとする。
(経済的な措置)
第21条 市は、市民及び事業者が環境への負荷の低減を図るために行う施設の整備、研究開発その他これらに類する活動を促進するため特に必要があるときは、助成その他の措置を講ずるものとする。
(事業者の環境管理に関する制度の導入の促進)
第22条 市は、環境に影響を及ぼすおそれのある事業活動を行う事業者がその事業活動を行うに当たり、環境への負荷の低減目標を定め、その目標の達成状況を検証し、その目標を見直すことを目的とした環境管理に関する制度を導入することを促進させるため、必要な措置を講ずるものとする。
第5章 地球環境保全の推進
(地球環境保全の推進)
第23条 市は、地球全体の温暖化の防止、オゾン層の保護、酸性雨の調査等の地球環境保全に関する施策の推進に努めるものとする。
(地球環境保全に関する国際協力)
第24条 市は、国際機関、国、他の地方公共団体、市民及び事業者と連携し、地球環境保全に関する国際協力の推進に努めるものとする。
付則
(施行期日)
1 この条例は、平成24年10月1日から施行する。
(下妻市環境美化に関する条例の廃止)
2 下妻市環境美化に関する条例(昭和61年下妻市条例第1号)は、廃止する。