私たちは毎日の生活の中で、意識していなくても様々な「契約」をしています。様々な契約トラブルや新しい巧妙な手口の悪質商法の被害を未然に防ぐため、契約に関する基礎知識を身につけておきましょう。
契約とは?
民法で「契約」とは法的責任を伴う約束のことで、当事者双方の合意によって成立します。
売買契約の場合、「売りたい」というお店の意思と、「買いたい」というあなたの意思が合致すれば契約が成立したことになります。口約束でも契約は成立するのです。
レストランで食事をすることも、インターネット通販で買い物をすることも契約です。
契約自由の原則
「契約を結ぶかどうか」
「だれと契約を結ぶか」
「どのような方法で結ぶか」
といったことは、契約する当事者の自由です。
契約が成立した時の義務
いったん契約が成立したら、当事者双方は約束を守らなければなりません。
売買契約であれば、お店には「商品を引き渡す義務」が、あなたには「代金を支払う義務」が生じます。
無効・取消・解除
無効な契約とは?
契約などの法律行為が初めから効果のないことを「無効」といいます。例えば、以下のような契約は無効です。
- 意思能力がない人がした契約(重度の認知症など)
- 公序良俗に反する契約
- 相手と示し合わせて結んだうそ(虚偽表示)の契約
また、契約内容について、消費者が一方的に不利益を被る契約条項は無効となります。
契約を取り消せる場合
「取消」とは、取り消す権利を持っている人がその権利を行使して契約を無効にすることです。契約を取り消すと、契約はさかのぼって無かったことになりますが、取り消さなければ契約は有効です。
「消費者契約法」では、以下のような事業者の不当な勧誘により、消費者が誤認や困惑して結んだ契約は、契約を取り消すことができます。
- 事実と異なること(うそ)を告げる(不実告知)
- 不確実なことを確実な情報として告げる(断定的判断の提供)
- 有利な条件ばかりを強調して不利益な事実を告げない(不利益事実の不告知)
- お願いしても帰ってくれない(不退去)
- 帰りたいのに帰してもらえない(退去妨害)
- 消費者の恋愛感情につけ込む
- 霊感商法等で不安をあおる など
そのほか、次のような場合は「民法」で契約の取り消しができます。
- 間違って契約した(錯誤)
- 強迫されて契約した(強迫)
- だまされて契約した(詐欺)
- 未成年者や被成年後見人による契約(制限行為能力者)
契約を解除できる場合
契約が有効でも、次のような場合には契約を解除できることが法律で認められています(法定解除)。
- 当事者の一方が契約の内容を守らない場合(債務不履行)
- 契約の目的物の種類、品質、数量が契約内容と異なる場合(契約不適合責任)
- 訪問販売や電話勧誘販売で、過量な販売があった場合
- クーリング・オフが適用された場合
このほかにも、契約で定められた解除事由に基づき解除する場合(約定解除)や、当事者間の合意による解除(合意解除)があります。
契約について不明な点などありましたら、消費生活センターへお問い合わせください。