ペットとの暮らしは、私たちの日常に幸せと彩りを与えてくれます。ペットの世話が生きがいになったり、ペットの話題で会話も弾みます。
ペットの寿命は年々伸び、犬や猫は15年以上生きることも珍しくありません。
万が一自分が病気などになってしまって、飼い続けることができなくなったときにどうするか……。
そんな事も考えて、対策をとっておくことが飼い主としてのペットへの責任です。
(1)頼れる人を探しておきましょう
自分に万が一のことがあったら、家族や友人、近所の人など大切なペットを託せる人はいますか?
「自分は大丈夫。」と、多くの方がそう思われているかもしれません。
しかし、「飼い主さんが突然亡くなる若しくは施設に入所してしまい、引き取り先がなく保健所等(※茨城県は動物指導センター)に連れていかれる」「孤独死で、エサがなくなったペットも衰弱死していた」などのケースはたくさんあります。
万が一の時に、ペットのことについてお願いできる人、頼れる人を探しましょう。
(2)頼む内容と方法を考えましょう
もし、頼みたい人がいる場合、事前にその人に頼みたいことを伝え、頼みたい内容も伝えているでしょうか?
万が一の時、自分にはもう意識がなかったり、最悪の場合亡くなっているなど、頼める状況にないかもしれません。
もし、万が一の時にペットを託したいという人がいるのであれば、「元気な今」に、事前にしっかりと話をすること、そして頼みたいことを書面に残しておくことがとても重要です。
※ペットメモ [PDF形式/133.27KB]をご活用ください。
【参考1】ペットのための遺言書を残す
「万が一の時」で一番に思い浮かぶのは「亡くなった時」だと思います。
「年齢的に自分にはまだ関係ない話」と思われるでしょうが、不慮の事故や突然の病気の発覚などは年齢に関係ありません。万が一は突然やってきます。
ペットのために遺言書を残すと言っても、法律上、ペットは「動産」(=不動産ではない有体物)であるため、ペット自身に直接財産を残すことはできませんが、「ペットの世話を条件として、人に財産を遺贈する」という形式の遺言書(負担付き遺贈)が考えられます。
「自分がいなくなっても、家族がいるから問題ない」と思っていたのに、自分が亡くなった後、相続人同士で相続財産の分配の話し合いで折り合いがつかずペットが後回しになるというのはよくあることです。逆にペットの存在が相続財産の分配でもめる原因の一つになることもあるでしょう。
弁護士や行政書士などに相談して、ペットを誰に託すか、どのように財産を残すかなどを整理し、法的に有効な遺言書を作っておきましょう。また、ペットを譲りたい相手から承諾を得ておくことが大切です。
【参考2】ペットのための信託を利用する
近年、「飼い主の死亡でペットが飼えなくなった」という理由だけでなく、「生きているけど、一緒に暮らせない。飼えなくなった」という理由でペットが手放されるケースも増えています。
遺言書は、亡くなった時にしか効力がありませんが、「亡くなったとき以外」にも利用できるのが「信託契約書」です。
ペットのために信託会社へお金を預けておき、いざとなったら、そのお金をペットのために使用することができる仕組みです。飼い主は、あらかじめペットの世話を誰にしてもらうか決めておき、預けたお金は、ペットのために使われます。
遺言や信託の相談先
遺言や信託については、弁護士、司法書士、行政書士、保険会社に相談してみましょう。
まずは、市区町村の法律相談窓口などを利用するのも良いでしょう。下妻市には、下妻市社会福祉協議会が行っている「心配ごと相談(法律相談)」があります。
(3)ペットのために何を残すか考えましょう
ペットのために何を残しておくかも考えなければなりません。
残しておくものは、すぐにペットの飼育費として使えるお金が一番良いかと思いますが、自宅などの不動産も残すということも、遺言書や信託契約では可能です。
アニコム損害保険株式会社が2022年にペットにかけた年間支出を調査したところ、犬・猫それぞれについて、病気の治療費やエサ代、トリミング料といった各項目にかかる費用は、犬では約36万円、猫では約16万円が年間飼育費として必要という結果が出ています。
しかし、この金額はあくまでもアンケートによる平均値です。
例えば、エサ代に関して、病気で特別療法食を必要としていたり、食物アレルギーがある子で専用のエサを与えている場合は年間にかかる費用が全く異なります。
病気の治療費に関しても、年齢を重ねていくにつれ、病院に行く回数は増える傾向にありますので、治療費は余裕をもって試算しておくとよいでしょう。
(4)頼れる人がいないとき
万が一の時にペットのお世話をお願いする人がいれば、遺言書や信託契約などで書面に残せますが、「頼める人がいない」という飼い主さんもいるでしょう。
様々な事情で、家族がいる方でも、万が一に頼れる相手がいないという声も聞きます。
そんな方は尚更、ご自身が元気うちに、託す先を探しておくことが大切です。
例えば、老犬・老猫ホームなどペットが亡くなるまで世話をしてくれる民間の施設を検討することもひとつです。
事業者によっては、ペットを預けた後も面会ができたり、近況を報告してもらえるところもあります。契約内容は様々なので、預ける前に施設等の見学をし、十分に説明を聞いて納得できる施設を選びましょう。
一時的な預け先であれば、ペットホテルなどもあります。
動物取扱業について
老犬・老猫ホームやペットホテルは「第一種動物取扱業」と呼ばれ、都道府県知事の登録が必要です。
これらの民間事業者を利用するときは、第一種動物取扱業の登録のある施設であることを確認しましょう。
登録されている施設は、下記の内容を書いた標識を施設内の見やすい場所に掲示しています。
- 第一種動物取扱業の氏名(法人は名称)
- 事業所の名称および所在地
- 登録に係る第一種取扱業の種別(老犬・老猫ホームやペットホテルは「保管業」にあたります)
- 登録番号
- 登録年月日及び有効期間の末日
- 動物取扱責任者の氏名
(5)しつけやケアをし、ペットの記録も作りましょう
預け先が困らないように、日ごろからケアやしつけをし、記録しておきましょう。
日頃からきちんとお世話をし、どんな子なのか記録があると、預かり先や引き取り先が見つかりやすいです。
また、ペット自身も自分のことをわかってもらってお世話をしてもらえることでストレスが軽減されるでしょう。


ペットを清潔にする
- ノミ、ダニの予防
- ワクチン接種
- 寄生虫の駆除
- シャンプー、トリミング、爪切り
など
基本的なしつけをする
- トイレのしつけ
- ケージの中でおとなしくできる
など
ペットの記録を手帳などに残す
- エサの種類や与える回数・量
- 病歴
- ワクチン接種歴
- 病院での検査の記録
- 性格や好きなもの、苦手なものなどペットの特性
など